女性の抜け毛の原因は複雑なものですが、症状としては全体として薄毛が進行してしまうというものが多いと知られています。びまん性脱毛症と呼ばれるものであり、多くの人が経験することになるものです。その原因の一つとして知られているのが甲状腺機能低下症であり、それが引き金となって髪の毛が抜けていってしまうことが症状として表れやすいものです。その現認と対策を知っておくと困ったときに役立つはずです。
目次
甲状腺の役割
甲状腺とは臓器の1つで、男女共に首の喉ぼとけの下にある蝶の様な形状をした器官です。甲状腺には生命を維持するにあたり非常に需要な「甲状腺ホルモンの分泌」の役割をになっています。この甲状腺ホルモンは以下の様な働きがあります。
炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン代謝の促進
全身を巡る血液中に甲状腺ホルモンを分泌して、食物から摂取した栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン)を活動エネルギーに変換し、新陳代謝を活発にする効果があります。
体の成長促進
特に胎児期や幼児期に甲状腺ホルモンが非常に重要な役割を果たし、欠乏すると発育障害を伴うクレチン病などが起る場合があります。
甲状腺機能低下による抜け毛や薄毛になるメカニズム
甲状腺機能が低下すると髪の毛を作っている毛乳頭や毛母細胞にも影響があります。甲状腺ホルモンが低下することで新陳代謝が低下すると、毛乳頭や毛母細胞が髪の毛を作る活動も低下してしまいます。その為、ヘアサイクル(毛周期)が上手く活動できずに、抜け毛が増えたり髪の成長が遅れ、薄毛が目立つ、また髪のツヤやコシなどの状態も悪くなる場合があります。
また、逆に過剰に甲状腺が働いてしまう甲状腺機能亢進症でも、新陳代謝が上手くいかずに毛乳頭や毛母細胞に悪影響が出て抜け毛の増加や薄毛症状がでることがある場合もありますので、注意が必要です。
甲状腺機能低下症とは
甲状腺の働きが低下して甲状腺ホルモンの分泌量が減る症状です。全身のエネルギーの利用を促進させるホルモンの作用が低下してしまうことによって神経系、心臓、代謝など各器官の働きがや新陳代謝が落ちる為、全身に様々な症状が発症します。
甲状腺機能低下症の症状
- 強い全身倦怠感
- 手足のむくみ
- 抜け毛や薄毛の症状、全身の脱毛
- 便秘
- 低体温による皮膚の乾燥
- 視力や聴力の低下
- 体重増加
- イライラなどの精神的不安や無力感
- 発汗減少
人によって甲状腺機能低下症による自覚症状は様々なのであくまでひとつの参考として確認して下さい。
甲状腺機能低下症による抜け毛や薄毛
甲状腺の機能が低下することによってホルモンの分泌が減ってしまうというのが臨床的な症状であり、それによってヘアサイクルが異常になってしまうことが抜け毛をもたらすことにつながってしまいます。
髪の毛を作る上で重要な役割を果たしているのが毛母細胞であり、甲状腺ホルモンの影響によって活性化を受けることが知られています。そのため、分泌量が減ってしまうことによって活性化がほとんど行われなくなり、ヘアサイクルのスタート地点が揺らいでしまうことになります。これによって発毛が阻害されてしまうだけでなく、周期にも乱れがおこって成長が十分に行われなくなり、早期に抜け落ちてしまう髪の毛が多くなってしまうことが知られています。
一方、身体全体として機能が低下してしまうことの影響も受けることがわかっています。むくみができて血行不良になりがちであることから、栄養や酸素の供給が不十分になりがちです。そのため、髪の毛が育つのに必要な亜鉛や鉄分、ビタミンB6などのミネラルやビタミンに加えて、タンパク質を作り上げるのに必要なアミノ酸も供給が滞ることになります。その結果として髪の毛が十分に育たなくなり、抜け毛が増えるだけでなく、髪の毛の質も低下して細くて色の薄いものになってしまう場合があります。
甲状腺機能低下症の原因
遺伝的な要因や自己免疫障害、ヨウ素の摂取不足など様々な原因が考えられます。自分自身でその特定は困難なため、甲状腺機能低下の疑いがある場合には、病院に足を運んで医師に診察を仰ぎましょう。
甲状腺機能低下症の対策
医師によるホルモン剤やレボチロキシン処方が一般的です。ただ、自分自身でも出来る対策がありますので、いくつか紹介していきたいと思います。
ヨウ素(ヨード)の摂取
甲状腺ホルモンはヨウ素(ヨード)が原料となっています。そのため、ヨウ素(ヨード)を多く含む「昆布」「ひじき」「あおのり」などの海藻類や昆布茶を積極的に摂取しましょう。
チロシンの摂取
チロシンはヨウ素(ヨード)に次ぐ甲状腺ホルモンの原料となっています。チロシン自体はアミノ酸の一種であり、豚肉、乳製品、ナッツ、などの豊富に含まれていますので、手軽に摂取することが可能です。
【まとめ】女性に多い甲状腺機能の低下は抜け毛の原因?甲状腺機能低下症とは
女性の抜け毛の原因は複雑ですが、その原因疾患の一つとして甲状腺機能低下症はよく見られるものです。身体の全体としてのエネルギー利用が低下してしまうことによる全身症状が出るのが典型的であり、その影響を受けて髪の毛が育たなくなります。そんな今回は具体的に甲状腺及び甲状腺ホルモンと抜け毛や薄毛の関係性やメカニズムを紹介しました。
しかし、その症状は人により十人十色であり、しかも甲状腺の疾患は「甲状腺機能低下症」だけでなく「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)」「橋本病」「びまん性甲状腺腫」など多岐に渡ります。少しでも異変を感じた場合には、自己判断せずにしっかりと医師に相談しましょう。